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中野剛志著「TPP亡国論」

.10 2012 TPPについて comment(1) trackback(0)
中野剛志著「TPP亡国論」(集英社新書798円)

結論
 第一に、TPP賛成論には、基本的な事実認識の誤りがあります。
例えば、日本の平均関税率は2.6%とアメリカよりも低く、農産品に
限っても、平均関税率約12%は決して高いとは言えず、穀物自給率
はわずかしかないほどすでに開国しています。TPPに日本が参加
しても、日本の実質的な輸出先はアメリカしかなく、アメリカの実
質的な輸出先は日本しかありません。アジアの成長を取り込むなど
というのは不可能です。
 アメリカの主要品目の関税率は低く、すでに日本の製造業は海外
生産を進めています。その上、アメリカがドル安を志向しているの
ですから、関税撤廃にほとんど意味はありません。そもそも、日本
はGDPに占める輸出が二割にも満たない内需大国であり、輸出に
偏重すべきではありません。

 第二に、TPP賛成論者は、経済運営の基本をあまりにも知らな
すぎます。需要不足と供給過剰が持続するデフレのときには、貿易
自由化のような、競争を激化し、供給力を向上させるような政策を
講じてはいけないのです。デフレ下での貿易自由化は、さらなる実
質賃金の低下や失業の増大を招きます。
 グローバル化した世界では輸出主導の成長は、国民給与の低下を
もたらし、貧富の格差を拡大します。内需が大きいが需要不足にあ
る日本は、輸出主導の成長を目指すのではなく、内需主導の成長を
目指すべきなのです。そして、何においてもまずは、デフレ脱却が
最優先課題です。しかし、貿易自由化と輸出拡大の推進は、そのデ
フレをさらに悪化させるのです。

 第三に、TPP賛成論者は、世界の構造変化やアメリカの戦略を
まったく見誤っています。リーマン・ショックは、住宅バブルで好
況に沸くアメリカの過剰な消費と輸入が世界経済を引っ張るという、
2002年から2006年までのグローバル化が破綻した結果です。アメリ
カは、この世界経済のいびつな構造を是正するため、そして自国の
雇用を増やすため、輸出倍増戦略に転換しました。TPPは、その
輸出倍増戦略の一環として位置付けられており、輸出先のターゲッ
トは日本です。
 特に、アメリカは輸出競争力をもち、今後、高騰すると予想され
る農産品を武器に、TPPによる輸出拡大を仕掛けてきているので
す。大不況に苦しむアメリカには、アジア太平洋の新たな貿易の枠
組を構築しようなどというつもりはなく、その余裕すらありません。
 要するに、TPPへの参加というのは、世界の構造変化もアメリ
カの戦略的意図も読まず、経済運営の基本から逸脱し、その上、経
済を巡る基本的な事実関係すらも無視しない限り、とうてい、成り
立ちえない議論なのです。TPP参加の合理的な根拠を探す方がよ
ほど難しいのではないでしょうか。

 ところが、財界と大手マスメディアのすべての圧倒的な支持の下、
すでに「開国」のメッセージは対外的に発信されてしまいました。
おかげで、日本が閉鎖的であるというイメージが広がってしまい、
日本のポジションは、交渉に参加する前から著しく不利になりまし
た。
 このままTPPに参加すれば、日本は、関税はもちろん、社会的
・文化的に必要な規制や慣行まで、開国の名の下に撤廃せざるを得
なくなるでしょう。デフレの悪化や格差の拡大はもちろん、規制緩
和による食の安全、医療あるいは金融における不安の増大など、さ
まざまな弊害が発生するでしょう。その弊害を正そうとしても、T
PPという国際条約によって制限されて、できなくなるのです。

 もっと問題なのは、TPPを巡る議論を通じて、日本政府が世界
情勢に疎く、経済政策の基本も知らず、事実関係すら無視し、イメ
ージだけで流されるということが、海外に知れ渡ったということで
す。このため、不況に苦しむ各国は、戦略なき日本の国富を収奪す
べく、次なる手を必ず打ってくるでしょう。尖閣問題の処理の不手
際が、ロシア大統領の北方領土訪問を招いたように、TPPへの参
加という愚行は、さらなる国難を呼び込むでしょう。

 ですから、TPPへの参加そして「平成の開国」は、何としてで
も阻止しなければなりません。それもただ単にTPPへの参加を、
与党に力がなかったので、あるいは国民的合意がとれなかったので、
仕方なく断念するというのでは足りません。できるだけ多くの日本
人が、歴史に思いをはせつつ、TPPへの参加の愚かさを論理的に
理解し、その危うさを明確に自覚した上で、きっぱりと拒否すると
ころまでいかなければ、日本は、この先、この厳しい世界情勢を生
き抜いていくことができないのです。
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